保育に関する仕事や資格ということでは、まず「保育士」、それから「ベビーシッター」が頭に浮かぶ方が多いと思いますし、実際、日本ではまだ「チャイルドマインダー」よりも良く知られている職業です。
では、「保育士」「ベビーシッター」と、「チャイルドマインダー」は、何がどう違うのでしょうか?
今回はそれをご説明したいと思います。
資格の面からの違い
まず保育士だけは国家資格です。
厚生労働省の定める通り、「保育士」となって働くには、厚生労働大臣の指定する大学・短大・専門学校などの「指定保育士養成施設」に通い、所定の単位を取得して卒業するか、もしくは「保育士試験」に合格して、保育士資格を取得すること。
そして、都道府県の備える保育士登録簿に登録を行うことが必須です。
一方、ベビーシッターとして働くために資格は必須ではありません。
育児経験があれば、ベビーシッターを派遣する会社に所属(契約)して仕事を得ることは可能です。
しかし実態としては、「公益社団法人全国保育サービス協会」(旧 社団法人全国ベビーシッター協会)が認定する、「認定ベビーシッター」の資格を有することが推奨されています。
「認定ベビーシッター」ではなくとも、「保育士」や「幼稚園教諭免許」を持っていたりして、無資格の方は少ないです。
また、保育士の「指定保育士養成施設」で、「認定ベビーシッター」資格を付与する制度も取り入れている学校もあり、ダブル資格で卒業する方もたくさんいらっしゃいます。
「チャイルドマインダー」は、当サイトで詳しくご紹介している通り、民間の団体が認定する資格ですが、国内外で広く認知されている資格です。
逆にこれらの認定なしに、「私はチャイルドマインダーです」と名乗っても、誰も認めてくれないでしょう。
働き方で見る違い
保育士として仕事をする場合は、やはり保育所などの児童福祉施設が中心です。
いきなり自分で開業するという人はほとんどいないと思いますので、雇用契約を結んで、そこで働くことになります。
ベビーシッターは、ご存知の通り、訪問型の個別保育です。
ほとんどは派遣会社に登録して、派遣スタッフのようなイメージになるかと思います。
それに対してチャイルドマインダーは、自宅などの小規模施設に集めて行うのが主体ですが、訪問型で行う場合もあります。
またチャイルドマインダーの大きな特徴は、最初から独立して、自分でスタイルを決めることができるという点です。
子供との密度の違い
保育士とチャイルドマインダーについては、一人あたりの保育する子供の数が定められています。
保育士一人に、0歳児なら3人、1~2歳児なら6人、3歳児なら20人、4歳児以上なら30人まで。
一方、チャイルドマインダーは、0歳児なら2人、1歳児なら3人、2~4歳児なら4人までです。
保育所は集団保育、チャイルドマインダーは家庭的保育ですから当然といえば当然ですが、チャイルドマインダーの方が、子どもたちと、より密度が高い関係が持てるのです。
ベビーシッターは特に定めはありませんが、ご家庭への訪問ですから、通常は1人か2人の面倒を見ることになるでしょう。
収入面での違い
自分一人の労働力で得られる収入では、それほど大きな差は出てこないと思います。
子供の保育を行うという点で、大きく違ったことはしていないからです。
ただし、働き方のところでお話しましたように、チャイルドマインダーは、初めから経営も合わせて行うことが可能です。
仲間のチャイルドマインダーと共同経営したり、アイデアを出して付加価値をつけたりすることで、自分一人の労働力では得られない権利収入的な要素も出てくるでしょう。
同様に保育所や児童福祉施設の経営やマネージメントに関わるようになると、比較的高収入になるかもしれませんが、その場合は現場を離れることが多くなるでしょう。
いつまでも子どもたちと一緒に居たいということなら、自宅でチャイルドマインダーというスタイルが理想ではないでしょうか。